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3年連続で高校生の指名に踏み切った中日 今後一層問われる球団としての“育成力” - 中日新聞

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中日に1位指名され、笑顔でポーズを決める高橋宏斗=名古屋市昭和区の中京大中京高で

中日に1位指名され、笑顔でポーズを決める高橋宏斗=名古屋市昭和区の中京大中京高で

  • 中日に1位指名され、笑顔でポーズを決める高橋宏斗=名古屋市昭和区の中京大中京高で

[記者コラム・Penペン草紙]

 コロナ禍のもとで開催されたプロ野球ドラフト会議が、無事終了しました。感染防止のため各球団は個室に分かれ、会場を盛り上げていた観客も今年は不在でしたが、育成選手を含めて123人が指名されました。

 中日は中京大中京高の高橋宏斗投手を1位指名し、一本釣り。高校生を1位指名するのは抽選で広島に敗れた2017年の中村奨成捕手(広陵高)を含めれば4年連続となり、ドラフトが高校生、大学生と社会人を一括して1位同時入札する抽選制になった08年からは初めてのことです。

 そのうち2度はご存じの通り、与田監督がいずれもくじを引き当てた18年の根尾昂内野手(大阪桐蔭高)と、19年の石川昂弥内野手(東邦高)。本音を言えば今年も与田監督の“黄金の右手”を見たかったところですが、それはぜいたくな思いというもの。高橋投手には将来のドラゴンズ投手陣を背負ってもらいたいと、切に願います。

 ただ、監督の立場になって考えれば、在任期間中のドラフトで高校生を1位指名する心の葛藤は大きかったのではないかと想像します。

 今のプロ野球は投手ならキレの鋭い変化球に加えて150キロ級のツーシームやカットボールのムービング・ファストボールも投げてくる。打者のパワーも増し、いずれもそれまで見たことも経験したこともないような対戦相手がゴロゴロいます。時にはヤクルト村上のように2年目から本塁打を量産する怪物も現れますが、一般的には高卒選手がこれらの変化球やパワーに対抗できるまでに成長するのはフィジカルも含めて3~4年、あるいはもっとかかるかもしれません。

 一方で監督は複数年契約を結んでいたとしても、実質的には一年一年が勝負。チームの不振が続けばいつでも責任を取る覚悟で臨んでいます。かつて中日時代の星野仙一監督が「ドラフトで高校生を指名するというのは、わしが辞めてからの後任監督のために選手を取るようなもの。こっちとしてはたまったもんじゃない」と、こぼしていたことがありますが、本音だったのでしょう。

 それでも与田竜は即戦力が期待できる早川隆久投手(早大)、佐藤輝明外野手(近大)らには目をつむり、地元選手とはいえ3年連続で高校生の指名に踏み切りました。

 今回のドラフトで、中日は充実した育成システムを構築する責任がこれまでにも増して大きくなったと思います。育成は2軍の練習環境や医療体制も含めて球団全体で取り組むことです。焦ってはいけないが、有望な選手たちを可能な限り早く1軍で通用する戦力に育て、スター選手への階段を上らせる―。球団としての総合力が、今後は一層問われることになります。

 ◆ヘンリー鈴木(鈴木遍理) 東京中日スポーツ報道部長、東京新聞運動部長などを経て現東京中日スポーツ編集委員。これまでドラゴンズ、東京ヤクルトスワローズ、大リーグ、名古屋グランパス、ゴルフ、五輪などを担当。

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